ラベル リビア・ドーン の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル リビア・ドーン の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年9月22日金曜日

DIYに走るリビア・ドーン: 地対地ロケットとして使用されるS-125地対空ミサイルがT-62戦車に搭載された


著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

これまでにリビアの戦場における過酷な戦闘環境は、各勢力の部隊に対して以前に放棄された装備の新しい利用方法を見つけるため、各々の創造性を活用して策を講じることを強いており、既にそのようにして、リビア軍(LNA)とリビア・ドーン(注:「リビアの夜明け」)がAK-230エリコン GDF艦載機関砲をトラックに搭載するといった興味深い多くの工夫を生み出している。

内戦が依然として終結に至るまでには遠いようだが、そのようなDIYはリビア・ドーンによる別の急造の移動式地対地ミサイルシステムの誕生が目撃されているように、未だに日の目を見続けている。
今年4月(注:2015年)に、S-125 SAMを地対地ミサイルとして牽引式発射機から発射するべく改修に取り組んだリビア・ドーンは、これらのシステムの能力で良好な結果をほとんど得られなかったにもかかわらず、これらを発展させる方針を続けてきたようだ。
新しい移動式発射システムはT-62(1972年型)を移動式発射台(TEL)のベースとして使用し、単発の改良型S-125を主要な兵装として砲塔の上に搭載した。  

リビアの首都であるトリポリと同様にミスラタを支配するリビア・ドーンは、リビアにおけるT-62の最大の運用者であり、トリポリ近郊を含む様々な場所での戦闘で同車を使用していた。
リビアのT-62部隊の主力は革命前にミスラタのハムザ大隊によって運用されていたが、革命の間に運用拠点がNATO主導の連合軍に攻撃された。
現在、リビア・ドーンには数十台のT-62が稼働状態にあるが、他の多くは様々な要因で使用不可の状態にあり、スペアパーツのために共食い整備の対象にされる可能性がある。

リビア・ドーンのS-125を地対地用途に改修するという以前のプロジェクトの画像から観察できるように、無誘導で飛行中の安定性を向上を試みるためにミサイル前部のフィンが取り外された。
同様にノーズコーンは延長され、ペイロード(本来はわずか60kg)を増やしたか、航空機を破壊するために設計された本来の爆発性破片弾頭を、従来型の高性能爆薬を載せた弾頭(注:砲弾や地対地ロケット用)に交換した。
新しい画像では簡単に識別できないが、標準の近接信管は、地対地用途のために設計されたものに置き換えられている可能性がある。

他の用途のために地対空ミサイルを改修することに携わったのは、リビア・ドーンが最初ではない。
バーシスト・イラクもイラン・イラク戦争の終盤近くに同じコンセプトで実験を行ったが、満足のいく結果を得ることができなかった。
このプロジェクトの詳細はこちらで読むことができる。

S-125を対地用途に改修することは、移動式発射台に搭載されているにもかかわらず僅かな価値のままである。
むしろ戦術的な目的よりも心理的な目的で役目を果たすだろう。

 ※ この翻訳元の記事は、2015年7月13日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

おすすめの記事


DIYに走るリビア・ドーン: S-125地対空ミサイルが地対地ミサイルとして使用された
DIYに走るリビア・ドーン:エリコンGDF艦載用機関砲がトラックに搭載された
Kh-29地対空誘導弾がリビアで無誘導ロケット弾として使用された
DIYに走るリビア軍:AK-230艦載用機関砲がトラックに搭載された

2017年7月14日金曜日

DIYに走るリビア・ドーン: S-125地対空ミサイルが地対地ミサイルとして使用された





著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

リビアにおける高性能な兵器のスペアパーツの不足は、他の勢力から優位を得ようとしているリビア軍(LNA)リビア・ドーン(「リビアの夜明け」運動)によって多くの興味深い改造をもたらした。
このような改造に関する最近の例には、リビア・ドーンによるエリコンGDF艦載用機関砲をトラックに搭載したことと、LNAによるAK-230艦載用機関砲をトラックに搭載した件が含まれる。

現在(注:2015年)、リビアの首都であるトリポリとミスラタのような他の大都市を支配しているリビア・ドーンは、支配下にあるリビア西部の広大な面積の土地で見つけられた大量の地対空ミサイル(SAM)を受け継いだ。    
リビア・ドーンは、SAMを本来想定されていた役割で使用する必要が少しも無かったため、SAMのいくつかを地対地ミサイルへ転用する実現可能性について調査に着手した。
この武装グループは、かつてリビアのSu-24に装備されていた幾つかのKh-29空対地ミサイルを無誘導ロケットとしてトリポリ近郊で使用していたことから、そのような改造の経験を既に獲得していた。 

実に驚くべき動きとして、リビア・ドーンは2014年12月初めと2015年3月初めに、少なくとも2つの完全なS-125 SAM旅団のミサイルと関連する装備品を一緒にトリポリへ移送した。[1] [2]
これらの移送の陰にある最初の動きは不明のままだったが、画像は現在、リビア・ドーンがS-125を地対地ミサイルとして使用し始めたことを明らかにしている。

(画像では)彼らのオリジナル発射機(移動式)に取り付けられているミサイルは、無誘導の地対地ロケットとして、より安定した飛行の軌道を得るために前部のフィンが取り外された。
より興味深いことに、ミサイルのノーズ部分が延長されており、もしかすると弾頭のサイズが増加した可能性がある。
元のミサイルでは、60kgの弾頭しか搭載されていない。
その量は飛行目標に大きなダメージを与えたり、撃墜するには充分だが、地対地の用途で使用された場合に目標に対して大きな損害を与えるにしてはあまりにも軽すぎる。
弾頭は、航空機を破壊するために設計された本来の爆発性破片弾頭よりも、効果的な通常の高性能爆薬に置き換えられたかもしれない。
最後に、通常はこのシステムに付随している近接信管は、地上の目標に使用するためにより適切な信管に置き換えられているようだ。

リビア・ドーンによるSAMを地対地ミサイルとして機能するように改造した例は、実際には世界初ではない。
かつて1988年には、イラクが数百Kmの射程距離の弾道ミサイルにするために、幾つかのS-125を改造した。

アル・バーク(Al-Barq)と呼ばれるこのミサイルは、S-125を操作可能なミサイルとして使用できるようにする特徴を取り除くなどして地対地ミサイルの用途に合うように改修された:ミサイルのカナード翼と弾頭の近接信管が取り除かれ、ミサイルの自爆装置が動作しないようにした。

この改造についてはS-125の弾頭が機体の一部であり、改修するのが困難であったために決して簡単ではなかったことが証明された。
ミサイルの作業は徐々に進行し、実際に幾つかの飛行試験が実施されたが、達成された飛行距離は117kmしかなく、CEP(半数必中界)は数kmに達した。
満足のいかない結果となったため、その後にこのプロジェクトは1990年に終了した。


リビア・ドーンが残された埃まみれのミサイルから、失敗したアル・バークの射程距離や精度を何とか達成しようと、やっつけ仕事で仕上げることが出来たかは明らかに信じ難く、この分野の改造ではとてつもない短距離と壊滅的な不正確さ(命中率)の両方に悩まされることを意味している。
しかし、十分過ぎる量のS-125とこの内戦がどうにもならないように見える限り、これらのような改造は間違いなく続くだろう。


















 ※ この翻訳元の記事は、2015年4月25日に投稿されたものです。   
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。   

おすすめの記事


DIYに走るリビア軍:AK-230艦載用機関砲がトラックに搭載された
Kh-29地対空誘導弾がリビアで無誘導ロケット弾として使用された

2017年6月16日金曜日

プローブ アンド ドローグ:失敗したリビアの空中給油システム導入計画







著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

リビアの空中給油システム導入計画は80年代後半にスタートして以来(関連する動きが)ほとんど伝えられていませんが、最終的に計画の放棄に至らせた数多くの挫折に悩まされていたようです。
それにもかかわらず、この野心的な計画は確実にその痕跡をリビア空軍に残しており、かつてこの計画で重要な役割を果たしていた機体は、現在の国内における治安状況がますます悪化している状況の中でも依然として飛行を続けています。

旧LAAF(リビア・アラブ空軍)は、5年以上前(注:2021年現在)から2つの空軍に分離して、それぞれがさまざまな種類の戦闘機やヘリコプターを運用しています。
統一政府がリビアの新政府として役割を果たすことになっていますが、国内の分裂はいくらかの勢力によって実質的に継続しています。ファイズ・サラージ(注:2021年現在はモハンマド・アル・メンフィ大統領)が率いる、トルコとカタールが支援している国際的に承認された国民合意政府(GNA)と、エジプト、ヨルダン、ロシア、アラブ首長国連邦から多大な支援を受けているハリーファ・ハフタル率いるリビア国民軍(LNA)リビアでは最強の勢力です。


両者は主に「イスラム国」などのイスラム過激派との戦いに目を向けていますが、双方の間での攻撃や空爆は増加し続けています。
これはムアンマル・カダフィ体制の崩壊後の混乱がもたらた不幸な結果です。これを引き起こした主な原因としては、リビアの各勢力の権力欲、リビアを不安定にしようとする国による外部からの影響...そして、カダフィ大佐の失脚には大きな役割を果たしたものの、リビアが機能する民主主義国家として発展を手助けするために不十分な支援しかしてこなかった国際的パートナーの役割不足が挙げられます。

限られた数の運用可能な機体を2つの空軍で分け合っているため、GNAとLNAの両方は比較的少ない労力で運用可能にできる機体や共食い整備に使用できる機体を分裂した国内で探し回りました。
以前に最後を迎える安息の地を見つけたと思われた航空機は、今では運用可能な状態に修復されて再利用されている場合が多く見受けられます。
リビアの大部分の空軍基地での機密装備の撮影に関する規則が緩いたためか、これらの機体の画像が定期的に流出しています。この特異な状況は、これまで多くの人に知られていなかったリビアの失敗した空中給油システムの導入計画を再検討するための理想的な映像をもたらしています。




リビアの広大な面積が、頻繁な着陸や目標に近い空軍基地に前進配備することなく、作戦機を長距離飛行させて目標に到達させることを可能にする空中給油機を貴重な資産にしました。カダフィ時代には、チャドやウガンダに展開しているリビア軍を支援するためか単なる報復として、リビア機がチャド、スーダン、さらにはタンザニアの目標を頻繁に攻撃していたため、その価値は特に真実性を帯びていたのです。

チャドにおけるリビアの暗闘は、チャド軍のみならず同国内の代理勢力やリビアと戦うイッセン・ハブレを支援するために展開したフランス軍と対峙したリビア空軍にとって決定的な時期とみることができます。
リビアの空軍基地はその大多数が北部に位置していたため、LAAFはリビア南部の人里離れた場所やチャド北部にさえも作戦機を前進配置させていました。
しかし、後にこの両方の場所がフランス空軍による空爆とチャド軍による地上からの襲撃に対して極端に脆弱だということが判明し、後者はチャド内のワディ・ドゥーン空軍基地を攻略したうえにリビア南部にあるメーテン・アル・スッラ基地を奇襲してリビア側に深刻な損失を与えました。

チャドで得た経験と世界的な流れへの関心が、リビアが空中給油機の導入を決定する決め手となった可能性があります(注:他国が空中給油機を使用し始めたことを見て、リビアも導入するという着想を得た可能性があるということ)。
1980年代半ばにはソ連のIL-78がすでに生産されていましたが、リビアはそれを導入する代わりに(イラクと同様に)空中給油計画の立ち上げに関する支援を受けるために欧米へ目を向けました。
この決定の理由は不明のままですが、単に当時のリビアにはIL-78の購入が(ソ連から)認められていなかったか、改修なしにこのソ連製空中給油機から給油を受けることができる航空機を運用していなかった可能性があります。



















1987年、リビアは自身の空中給油システムの導入計画を立ち上げるために、西ドイツ「インテック・テクニカル・トレード・ウント・ロジスティック(ITTL)」社と契約しました。[1] 
リビアは西側諸国の前に立ちはだかる宿敵であるにもかかわらず、軍事関連を含めたあらゆる種類の取引では西側の企業と契約することを問題にしませんでした。関連機器を送り出す西側の企業も、リビアの石油資源から利益を得ることに意欲的であったため、リビアのために働くことに問題はありませんでした。
興味深いことに、ITTLは独自の空中給油(IFR)用プローブの設計に引加えてフランスからIFR(空中給油)プローブを入手することを始め、後にそれらは少なくとも3機のMiG-23BNと1機のMiG-23UBに搭載されました。

MiG-23MSでの過酷な経験があったうえにMiG-23BNでまた同様の問題に直面しているにもかかわらず、MiG-23BNは頑丈さと兵装のペイロードのおかげでリビアでは貴重な戦力となりました。(注:MiG-23MSは質や能力が低くい上に飛行が難しかったため、結果として多くの機体やパイロットが失われました。LAAFにとってはこの事態はまさに悪夢そのものだったのです)。そのため、戦闘行動半径を拡大するためにIFR用のプローブを特別にMiG-23BN飛行隊に装備させるという決定がなされたことは当然のことでした。
MiG-23BNにIFR用プローブを追加することに加えて、LAAFはフランスから導入した16機のミラージュF.1AD(の残存機)も頼りにすることができました。このミラージュは間違いなくリビアが保有する戦闘機のなかで最も高性能な機体であり、既に空中給油能力が付与されていたのです。

同時に2機の航空機へ給油することを可能にするため、ITTLはLAAFが保有する1機のC-130の両翼の下に空中給油ポッドを搭載することによって、同機を空中給油機に改修する作業を進めたようです。
残念なことに、空中給油の際にMiG-23がC-130の比較的遅い飛行速度に適応することができなかったため、C-130がこの任務に不向きであることが判明しました。
ミラージュF.1ADはC-130からの空中給油が可能でしたが、この時点で、リビアはすでにより適した空中給油プラットフォームを自国で運用していることに気づきました...IL-76です。

そのため、(事実上LAAFの一部である)リビア・アラブ・エア・カーゴ(LIBAC)のIl-76TD「5A-DNP」はITTLの技術者によって空中給油機に改造されました。
彼らの尽力にもかかわらず、西側でこの件が公に知られた際に、ITTLはリビアでの作業の打ち切りを余儀なくされました。
彼らの撤退はこの野心的な計画の終わりを最終的に告げた一方で、リビアは自身でこの計画を数年間は継続させたようです。結局は1990年代半ばにこれに関する全ての取り組みが終了したと考えられています。
興味深いことに、この計画の様子はフィルムに記録されており、オンラインで視聴することができます


ITTLがリビアの空中給油システム導入計画の作業を開始したのと同時期に、リビアはTu-22飛行隊を最大で36機のSu-24MKとそれを支援する6機のIL-78空中給油機へ更新するためにソ連と交渉に入りました。
このSu-24とIL-78の組み合わせはLAAFの長距離打撃能力としての機能を果たし、これまでこの任務で使用していたTu-22爆撃機を置き換えるものでした。
Tu-22はアル・ジュフラにある基地から長距離を飛行することができましたが、80年代後半には運用寿命が終わりに近づいたために、これらを更新する必要があったのです。

Su-24MKは、Tu-22に欠けていた精密打撃を可能にする多様な空対地ミサイルと誘導爆弾を装備することができました。
実際、リビアのTu-22がタンザニアの標的に対する爆撃ソーティを実施した際、乗員は標的を外しただけでなくそれがある国自体も外し、爆弾が国境を越えてブルンジに着弾したということがあったのです!(注:それくらい精密打撃能力などが欠如していたということ)[2]

リビアにとって不幸だったのは、支払いに関する意見の不一致と1992年から発動された国連の武器禁輸措置がLAAFに希望する量の航空機を受け取ることを妨げ、最終的には6機のSu-24MKと1機のIL-78だけがリビアにたどり着いたことです。(注:Su-24MKの代金について、ソ連はリビアに事前に50%の支払いを求めていましたが、リビアはそれを拒否したために取引は合意に達しなかったのです

1989年か1990年の運用開始以来、この唯一のIL-78が空中給油の任務に使用されたのかは不明のままですが、生涯のほとんどを貨物機として過ごしてきたにもかかわらず、依然として3基のUPAZ空中給油ポッドが装備されていることは確実です。
民間のジャマーヒリーヤ・エア・トランスポート(リビアン・エア・カーゴ)のロゴを付けたこのIL-78は2004年と2005年にかけてロシアのスタラヤ・ルーサの123ARZ修理工場で修理された後、2005年4月初めにモスクワにあるシェレメーチエヴォ国際空港(IAP)に着陸する姿が初めて目撃されました。




その生涯を通してほんの僅かしか目撃されていないこの飛行機は、リビア革命の終結後にはさらに見つけることが困難となってしまいました。
アル・ジュフラ基地に駐機されたままだったリビア唯一のIl-78について、2015年後半にミスラタ空軍基地に再び姿を現した際にこの不運な機体がミスラタを拠点とする空軍に再就役したことが確認される前には、既に現役を退いたものと考えられていました。

IL-78はその存在理由である高度な能力を出さないまま、貨物機としてその残された短い生涯を送り続けています。
新しい運用者に従って、英語とアラビア語で描かれたカダフィ時代のジャマーヒリーヤの文字が塗りつぶされ、新しいリビアの国旗がジャマーヒリーヤ・グリーン(カダフィ時代のリビアを象徴する緑色)の上に描かれました。
機種の窓には酷使された跡がありますが、正面の風防は交換されているようです(注:機首側面や下部の航法士席窓が劣化や損傷により透明度を失っています)。




リビア内戦で見える絶え間ない戦闘が続くにつれて、リビアとその資源を支配するべく争っている各勢力の武装を強化するために(今は使用されていない)軍事装備が運用可能な状態に戻されています。 
多国間にわたる作戦飛行を行う能力があるプロフェッショナルな空軍を支援することに特化した空中給油機部隊の夢は遠い昔に記憶から消えてしまっていますが、リビアの空にはまだこの機体のエンジンの残響がこだまし続いています。
この計画で重要な役割を果たした機体は、戦争の弱まることのない要求によって徐々に消耗されていくでしょう。





















[1] Libya’s Peculiar, Aerial-Refueling MiG-23s https://warisboring.com/libyas-peculiar-aerial-refueling-mig-23s/
[2] African MiGs Volume 2: Madagascar to Zimbabwe http://www.harpia-publishing.com/galleries/AfrM2/index.html


特別協力:トム・クーパー from ACIG (注:翻訳記事では協力を受けていません)
リビア空軍の詳細については、Helion & Company社の素晴らしいLibyan Air Warsシリーズをぜひご覧ください。

 ※ この翻訳元の記事は、2017年6月3日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。  

2017年5月29日月曜日

DIYに走るリビア・ドーン:エリコンGDF艦載用機関砲がトラックに搭載された


著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

リビア軍(LNA)とリビア・ドーンは 一見して終わりの無い紛争に巻き込まれているが、双方ともに、互いに優位を得るために必要とされる最大限の火力を、自身の兵士たちに提供するための創造的な解決策の模索を強いられている。
リビアに存在する多くの武器庫は、現在リビアを支配するべく戦っている多くの勢力に目を見張るほどの量の高性能な武器を提供していたものの、スペアパーツの不足は、これらの兵器群の一部を稼動し続けさせるためにほとんどが共食い整備での対応となり、結局はこれらの一部だけしか運用されていないことを意味した。  

その状況は、リビアに課された同国で戦う軍隊(LNA)へのための軍用装備の取得を妨げる武器禁輸措置によって、悪化していくことになる。
武器禁輸措置自体は、大抵がほとんど効力が無い紙の上の文字にしかすぎないことから、LNAとリビア・ドーンは国外の支援者から依然としていくらかの軍用装備を受け取ってはいるものの、その武器の流れは双方に決定的な優位を得させるにはあまりにも小さいままである。

この状況は、各勢力にリビアの武器庫や航空基地で発見され得る高度な兵器を何でもかき集めさせるという結果をもたらした。
その 最も注目に値する結果として、本来はリビアのSu-24で使用されるKh-29空対地ミサイルがリビア・ドーンによって無誘導ロケットとして使用されたこととLNAによってAK-230艦載用機関砲がトラックに装備されたことが挙げられる。

LNAが艦載砲を装備した最初のトラックを完成させたのと同じ頃、同じようなプロジェクトがリビア・ドーンによって始められた。
リビア・ドーンは、兵器が保管されていた保管庫を占領した後に、かつてはリビア海軍のフリゲート、コルベットや高速攻撃艇に装備されていた多数の兵装を何とか入手した。
リビアは90年代に武器禁輸のせいでこれらの艦艇を修理できず、結局は全てスクラップとなった。

4隻のアサド級コルベットは90年代にスクラップにされた艦艇であり、その全てが僅か10年あまりしか運用されなかった。
これらの艦に装備されていたオットー・メララ 76mm砲エリコン GDF35mm機関砲、魚雷発射管、オトマート対艦ミサイルと関連する火器管制装置が全て保管された。



艦載用兵装が保管されていた巨大な保管庫には、幅広いソ連製兵装に加えて、オトマートMk.1/Mk.2やエグゾゼのような対艦ミサイルだけでなくオットー・メララ 76mm砲や35mm/40mm機関砲のような様々な種類の艦載砲が保管されていた。

この既に旧式であるソ連製兵装の多くは、未だに艦艇に搭載されているこれらの兵装が、運用を継続することを可能とするためのスペアパーツとして取り外された。
西側製の艦載砲は短い期間でほとんど使用されなかったため、依然として最良の状態を保っていたが、現在では明白な将来の使用が無いまま朽ち果てている。
カダフィ大佐のリビア海軍の調達計画には主にロシア製の艦船が含まれており、これは保管されていた西側製の兵装が搭載される可能性が無いことを意味し、彼らの運命は効果的に封印された。

しかし、2014年の後半に、リビア・ドーンはこれらの兵器をトラックに搭載するために保管庫から持ち出した。
これらの兵装に対する初期の改造は成功を証明し、より多くの艦載砲を地上用に転換する作業が開始された。







組み立て中のシステム(ヘッダー画像の車輌)は、90年代にスクラップになったイギリス製フリゲート「ダット・アサワリ」から取られた、双連のエリコンGDF 35mm艦載用機関砲を搭載した。
砲塔の半分は、照準や機関砲や弾薬へのアクセスを容易にするために切り取られた。
艦載砲の比較的大きい口径とトラックがそのような方法で使用されるように設計されていないという事実のために、長時間の射撃はおそらく不可能ではあるが、側面に向かっての射撃とは対照的に後方へ射撃するならば、その安定性は良く達成されるだろう。

完成したシステムには、35mm機関砲のマズルブレーキが含まれていましたが、砲塔カバー全体が取り外された。
そのシステムが提供した最小限の防護は、明らかに(部分的な)砲塔カバーを装備したときに得られる隠密姓と状況認識の増加に対して評価をしなかったことを意味する。

驚くべきことに、4月初め(注:2015年)にリビアを走り抜けるリビア・ドーンに所属するトラックが、1門のオット・メララー 76mm砲と空のオット・メララー 76mm砲の砲塔と空の40mm ダルド近接防空システム(CIWS)の砲塔を運んだ。
これらの特定の兵器システムが、地上での使用のために改造されるであろう方法を推測することしかできないが、それは紛争の当事者が、長期間にわたる戦いのために準備を整えていることを明確に示しており、武器のストックを増大させるためにどんな苦労も惜しまないだろう。









特別協力:Joseph Dempsey (注:元記事への協力であり、本件編訳とは無関係です)。

 ※ この翻訳元の記事は、2015年4月20日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。  

おすすめの記事

DIYに走るリビア軍: AK-230艦載用機関砲がトラックに搭載された
DIYに走るリビア・ドーン: S-125地対空ミサイルが地対地ミサイルとして使用された(英語)
Kh-29地対空誘導弾がリビアで無誘導ロケット弾として使用された

2017年5月16日火曜日

Kh-29地対空誘導弾がリビアで無誘導ロケット弾として使用された



著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

リビアのトリポリから出回った一連の写真の中で、リビア・ドーン(注:親イスラーム過激派民兵組織)は現在、高度な精密誘導ミサイルを地対地用ロケット弾として使用しているようだ。使用されたミサイルは、スルト近くのガルダビヤ空軍基地付近にある兵器庫から奪われたものである。
そのミサイルはKh-29Tで、通常は標的に命中させるためにTV誘導が使用される。 Kh-29Tのリビアでの運用については、80年代後半にソ連から引き渡されたSu-24のみによって使用されただけである。

リビア内戦の早い段階で、 第1124飛行隊は飛行可能状態にあった2機のSu-24MKを、ラス・ラーヌーフ近郊にある国民解放軍(反政府軍)の拠点に対して飛ばし、僅かな作戦ソーティを実施させた。
これらの作戦の過程で、一機のSu-24MKが撃墜された。
唯一の運用状態にある1機のSu-24MKと飛行不能状態にあった2機のSu-24MKは、その後、ガルダビヤ航空基地に対するNATOの航空攻撃によって破壊された。

かつて、これらのSu-24で使用されていた兵装は、現在リビアが保有する他の飛行機がこれらを搭載することができなかったため、無用の長物となった。
この状況は、運用するべき機体が存在しないKAB-1500レーザー誘導爆弾、Kh-25、Kh-29L、Kh-29T空対地ミサイルを残した。


現在では、彼らの意図した役割(本来の用途)ではないにもかかわらず、この武器のいくつかを再び使用可能にする努力がされているように見える。
発射を写した画像にあるKh-29Tにはフィンがあるが、無誘導地対地用ロケットとしての、より安定した飛行を得るために前部と後部フィンのエルロンが取り外されている(注:画像をよく見るとはっきりわかる)。
これらのミサイルが新たな用途に使用された理由は、明らかに弾頭のサイズであり、これには320kgの重量級弾頭が搭載されている。
 

リビア・ドーンがミサイルの大量のストックを有し、既にいくつかの同様の発射が実施されていることから、このような高度なミサイルのより多くの発射を期待することができる。


Khaled Ben Alewa に感謝を申し上げます(注:元記事への協力であり、本件編訳とは無関係です)。
 
 ※ この翻訳元の記事は、2014年8月18日に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。