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2017年1月16日月曜日

フォトレポート:シリア・アラブ防空軍

著 Stijn Mitzer と Joost Oliemans (編訳:ぐう・たらお)

シリア・アラブ防空軍はかつてはシリア軍の誇り高い独立軍種であったが、5年にわたる長い内戦で甚大な被害に遭った。
シリア防空軍が保有する多くの地対空ミサイル及びレーダー基地がシリアを支配すべく戦うさまざまな勢力のために失われたおかげで防空軍はすでに深刻な打撃を受けていたものの、貧しい財政状況と陸軍及び国防軍(NDF:政権の民兵組織)への人員の転換は致命傷を与えた。

以下の画像は、シリア四軍が参加した2012年の大規模演習の際に撮影されたものである。
この演習はシリアの治安情勢がますます悪化している最中に実施され、国際社会からリビアに対するような介入の呼びかけにまで至った。これに反応して、シリア軍は数日間の演習を実施して外の世界に自国軍の強さを見せつけた。

パーンツィリ-S1と一緒にいる9K317E ブク-M2Eは、かつてはシリア防空軍の誇りであった。
下に見える9A317の輸送車兼用起立式レーダ装備発射機(TELAR)は、9S36レーダーのために独立した運用が可能である。
これらのシステムのいくつかは、ダマスカス周辺及びシリアの沿岸地域に配備されている。
2007年にデリゾールにある原子炉と疑われる建造物へのイスラエルによる爆撃後にロシアから最新の防空装備が到着したことは大いに期待されたが、新しく到着したブク-M2E、パーンツィリ-S1やペチョラ-2Mはイスラエル機を撃墜できないとして置き換えられた旧式の防空システムとあまり変わらないと思われている(注:結果的に戦果が無いということ)。

9A316輸送起立発射機(TEL)から射出され、勢いよく飛行する9M317ミサイル(写真)。
9A316にはレーダーの代わりに4発の再装填用ミサイルが搭載されているため、独立して運用することはできない。
通常の状況下ではブク大隊は6両のTELARと3両のTELで構成され、さらに2両のTELARと1両のTELを持つ3個中隊にに細分することができる。
各大隊には標的獲得レーダー、指揮車両及びより多くのを再装填用のミサイルを運ぶトラックも含まれている。

パーンツィリ-S1が12発を搭載する57E6地対空ミサイルの1発を発射している(写真)。 
これらのシステムブク-M2Eやペチョラ-2Mと同様、主にダマスカス周辺及びシリアの沿岸地域に集中して配備されている。  
海岸沿いの環境により溶け込むために、多くのパーンツィリ-S1には沙漠の環境向けに仕上げられた迷彩パターンが導入された。

2012年演習では、シリアが9K35 ストレラ-10を運用していることが初めて視覚的に確認された。
他の多くのストレラ-10運用国とは対照的に、シリアは機動SAMシステムとして陸軍へ配備せずにこれらを航空基地の周囲に配置した。
ほとんどの9K31ストレラ-1が保管状態に置かれていたが、シリアでのすべての9K35ストレラ-10は未だに現役で運用中と思われている。
 

シリアは今までにSAMシステムを全く退役させておらず、2連装及び4連装のS-125用発射機も運用し続けている。
同システムについてはより現代的な4連装の派生型が一般的であり、シリアの至る所で見つけることができる。
2連装発射機は主にダマスカス周辺に集中して配置され、このうち1基のミサイル・サイトが2012年にイスラーム軍によって制圧された。 



2連装及び4連装のS-125用発射機の運用に加えて、シリアは約10年ぶりにロシアから数個中隊分のペチョラ-2Mを受領した。
このシステムはベラルーシのMZKT-8022シャシーに4連装のS-125ランチャー(実際は2発のミサイルではあるが)を組み合わせ、敵の航空機や巡航ミサイルに対して大幅に性能を向上させた。
ペチョラ-2Mを配備しているいくつかのサイトはダマスカス周辺およびシリアの沿岸地域で確認されているが、敵に与える驚異を保持するために異なる場所へ頻繁に転換している。
 

9K33オサーSAMシステムから2発の9M33ミサイルが発射され、煙が上がっている(写真)。
シリアはすでに80年代の間にレバノンで9K33を運用していたが、注目を浴びたのは2012年にイスラーム軍が東グータでいくつかの発射車輌を捕獲した後であった。
これらの9K33はその後、イスラーム軍が支配する領域の上空を飛行するシリア空軍ヘリコプターと交戦するために使用されており、未だに運用されている。


2K12地対空ミサイルシステムは1973年の10月戦争(ヨム・キプル戦争)の際にエジプトがイスラエル空軍に対して使用して大成功を収め、伝説の地位を得た。
実際、このシステムはすぐに「死の三本指」というニックネームを得て非常に恐れられた。
ただし、このシステムはシリア軍での運用では成功例が少なく、1982年のレバノンのベッカー高原での「モール・クリケット19」作戦時と過去数年間のシリアへのイスラエル空軍の襲撃で、防空軍と空軍の残りの装備と一緒に完全に打ち負かされた。
 


シリア・アラブ防空軍の装備や組織構造などの現状を取り上げる記事は、後日にこのブログに掲載される予定だ(注:2017年現在で未執筆であるが、執筆の予定はあるとのこと)。
 

















※ この編訳元の記事は、2016年8月に投稿されたものです。
   当記事は意訳などにより、本来のものと意味や言い回しが大きく異なる箇所があります。
   正確な表現などについては、元記事をご一読願います。

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2016年11月30日水曜日

オリックスのハンドブック:キューバの軍用車両・重火器


著:ステイン・ミッツアーとヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

お知らせ:

  1. 装備名をクリックすると、キューバ軍で使用されている装備の画像を見ることができます。
  2. 一つの名称で知られている装備に派生型が存在する場合は、それらを追加して表示しています。
  3. 日本語版では、各種砲の口径を後に表示しています。また、正確な用途が判明しない自走砲は「自走砲」、用途が明確か下記の表記がなされているものについては細かく表示しています。また、対空砲については特に機関砲・高射砲などの分類をしていません。
  4. 最終更新日は2019年8月22日です(日本語版は2021年6月11日)。

略称について:

- CBAF (Carro Blindado de Apoyo de Fuego) = 火力支援車両

- CBE (Carro Blindado de Exploración) = 装甲偵察車

- CBI (Carro Blindado de Infantería) = 装甲歩兵車

- C-AP (Cañón Autopropulsado) = 自走砲

- C-AP-AT (Cañon Autopropulsado Anti-Tanque) = 対戦車自走砲

- C-AP-MP (Cañon Autopropulsado Multipropósito) = 多目的自走砲

このリストやリスト内の一部の編集された写真について、Oryxブログが出典であることを明示せずに転載することを固く禁じます。

特別協力:Foro Militar General と Sahureka氏


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